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2010年11月13日 (土)

東海道ウォーク 新居-二川(番外) 立岩

2010年9月29日(水) 



【二川の昔話】
 二川南小学校のサイトにこんなのがありました。
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沢渡池と反茂池(さわたりいけとたんもいけ)
 むかし、むかし、ずっとむかしのある日のこと、西の方から大男が大きなもっこに土をいっぱい入れて、てんびんぼうをかつぎ、のっし、のっしとやって来ました。ずいぶん遠くから来たとみえて、二川あたりまでやって来ると、
「どっこいしょ」
と、こしをおろしてひと休みしました。
 やがて、また大きなてんびんぼうをかついで、歩いて行ってしまいました。
 大男がひと休みしたあとは、おしりのあとが大きくへこんでいました。そこへ雨水がたまって、反茂池と沢渡池になったのだそうです。そして、もっこからこぼれた土が一方は岩屋山に、もう一方は立岩(たていわ)になったのだそうです。

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二川南小学校「二南の昔話」より
http://www.futagawaminami-e.toyohashi.ed.jp/futagawaminami-e/mukashi.htm

 大きな窪みが巨人の大足跡だとか、足跡に水がたまってできた沼だという、よくある話で、ダイダラボウとかダイダラボッチの昔話かと思います。近辺を探すと、豊橋市の北部・弓張山地にある石巻山にも「ダイダラボッチの足跡」というのがあるそうです。
http://toyohashi-minwa.seesaa.net/category/1249363-1.html

 その立岩に向かいます。
 立岩はもう一方の岩屋山(二川の少し西の火打坂にある)よりも少し小さいからか、あまり注目されず不遇を託った感じです。ということは観光地化されていないということ。
 ここで立岩3題。

P1160949

P1160952

P1160956trim

 実にいい感じです。特に真中の写真が気にいってます。看板の注意書は「この下に豊川用水の水路があるよ」というものでした。

【中央構造線】
 登る前に喫茶店「立岩」で一休みしました(14:20-40)。鄙には稀な本格的な喫茶店でした。チーズケーキとコーヒーで満足。

 店の前の道路際にも岩頭がでていました。

P1160954

 さてこの特異な立岩がどうして出来たか?分かりません。分かりませんが、この少し北、豊川(川の名)あたりを中央構造線が走っていて、その南側(三波川変成帯というらしい)は海洋プレートの沈み込みでこそぎ取られた「付加体」が低温高圧の変成作用を受け、岩石になって、プレート沈みこみの圧力で隆起してきたものと思われます。その中の硬い岩盤が侵食に耐えて残ったのかと。以上、あくまで一般論ですが、地質に詳しい人ならば、立岩の岩石を分析すればなにか分かってくるのかと思います。
 産総研20万分の1日本シームレス地質図によると、立岩付近は約18000年前~現在の堆積岩類で、そのすぐ北の83.8mの三角点の山は約15万年前~7万年前の中位段丘、そのすぐ北の西荒神の山は 、約3億5900万年前~1億6100万年前のチャート(付加コンプレックス)となっていて、これは岩屋山と同地質です。
http://riodb02.ibase.aist.go.jp/db084/shosai/tokaiKinki.xml
http://www.osk.janis.or.jp/~mtl-muse/geo_googlemap_homeuser.htm
 ま、立岩の由来の説明にはなってないですが、立岩地震が堆積岩とは考えにくく、もっと古い地層が飛び出て残っているのかと推定します。このあたりは門外漢にはなんとも説明のしにくいところで・・・しかし、よくもまあ産総研はこんな根気のいる仕事をするもんだと別のところで感心したりしています。
 中央構造線の詳しい説明は下記をどうぞ。大鹿、三伏峠や塩見岳も行きましたが、その時は中央構造線や境界の露頭などは全然眼中になかって、惜しいことをしたと思いました。
http://mtlwebmusesub.web.fc2.com/subindex08geopark.htm
http://www.nishida-s.com/main/categ3/mtl-nagano/index.htm

【立岩をめぐる人模様】
■立巌稲荷
 地図には立岩の麓に社があって、立巌稲荷とあります。行ってみると赤い鳥居があって、あまりお稲荷さんらしくはないが、とにかくありました。

P1160957

■謎の神社
 その裏には別のお社がありました。参道がちょっとずれていて別の神社のような気がしますが、全然手がかりがありません。後日ネットを調べてみても反応なし。

P1170012

P1170013

 拝殿らしき裏には本殿になるんでしょうか、小さなお社がありました。思うに、この大岩ですから、岩自体が信仰の対象になった古い時代のものなんでしょうか。

P1160961


■行者窟?
 拝殿の横には露岩か落ちて来た岩かどうか分かりませんが、いかにも行者が泊ったような窪みがありました。

P1160959

P1160965

 

P1160968

その裏は切り立った岸壁です。いかにも行者が行をしそうな・・・
 ここはロッククライミングの練習場にもなっていたようですが、崖下には看板が建っていて「ここは岩登り施設ではありません、入山をご遠慮ください。落ちても知らんよ・・(豊橋市)」てなことが書いてあります。

■巻き道をゆく
 岩登りでなければいいんだ、と理解して道を探すと、本殿横の岩から背後の岸壁を巻くようにして道が続いておりました。

P1170011

頂上までは5分程で登れます。

P1160969

P1170006

■本土防衛作戦 
 頂上直下には防空壕跡がありました。はて、こんな高いところに?色々調べてみると、渥美半島は太平洋戦争末期に米軍の本土上陸作戦が心配された場所で、遠州灘沿岸地方は第73師団が配置され、トーチカ等の防御陣地をたくさん作ったそうです。特に二川の山々は、渥美半島の防御陣地を突破してきた米軍を迎え撃つ第2の防御線と位置づけられた重要な場所であったそうです。
http://www.geocities.jp/futagawahakkutu/002.jpg

P1160975

 また、お隣、豊川には豊川海軍工廠があり、豊橋の地には「歩兵第18連隊」が、さらに、明治41(1908)年には「第15師団」が置かれていました。これにより、豊橋にも空襲があったようで、立岩と対になる岩屋山には要塞砲陣地が設置されていたそうです。
 しかし、高空を飛ぶアメリカ軍機まで弾がとどかず、海軍工廠を初め各地に空襲の被害を受けました。特に昭和20年6月19-20日の豊橋大空襲では市街地の70%を焼失、死者624人という大被害を受けました。下のサイトを読んでいると、これは紛れもなく無差別爆撃です!忘れないために特に参照サイトを記しておきます。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/daijinkanbou/sensai/situation/state/tokai_07.html
http://www.geocities.jp/jouhoku21/heiwa/bun-nisioka.html

 空襲への避難のために作られた防空壕ですが、岩山の上というのがどうしても理解できません。本土防衛作戦というただならぬ動向の中で、本土決戦に備えて見張りなどを置くような計画ではなかったのか?頂上は見晴らしはいいです。

【ともかくも立岩頂上です】
 立岩はいくつかの岩のでっぱりがありますが、南から見て、大きく分けると2つの出っぱりからなっています。

■まずは西側の岩稜から
 ピーク手前の支稜は黒い岩からなっています。JR東海道線の電車が通っています。

P1160973

 西側の岩稜から直下を見ています。これ以上行くと恐いです。自慢じゃないが高所恐怖症ギミのところがありますので。岩には黄土色の成分が混じっています。

P1160992

 南を覗きます。新幹線の向こうに今日通ってきた国道1号線があるはずですが、よく分かりませんね。画面の左隅にある白い工場の向うが一里山だと思うのですが・・・平板な平野でなくなんとなく高くなっていくのが分かります。

P1160991

■東側の岩稜に移ります
 ここもピーク付近は黒い岩からなっていますが、先端に行けば黄土色の成分が多くなります。

P1160998

 先端部まで行ってみました。これ以上は恐い。真正面の工場は日東電工、その向うにはスズキ湖西工場ですが、写真では見えません。

P1160979

 東を見てみると、浜名湖が見えます。湖の向こうの白いビル群は舘山寺温泉街だと思います。左端には赤い橋も見えます。
 ここからは条件がよければ富士山も見えるということでしたが、もやで見えません。

P1160982

■サイホン落とし口
 ピークの北側には豊川用水(東部幹線)の水路とサイホン落とし口が見えます。ザアザアと音を立てて地中に潜っていくのが分かりました。ここから落ちて一里山手前の国道沿いで吹き出します。こんなものをよく作ったもんだと思います。

P1160977

 頂上からの眺めを満喫して下山しました。振り返るとゴツイ岩肌がボクを見下ろしているようです。さすがにホッとして一服、ヒガンバナの写真を撮って気を落ち着けました(15:10)。

P1170021

P1170023

P1170030

(つづく)

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